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どこにあるんだe-Japan。 [気になるエトセトラ]

 昨年度(2004年4月~05年3月)における、政府の電子申請の利用率が公開された。結果は0.9%と、バカバカしくてお話にならない数字だった。世界じゅうはおろか、アジア諸国でも下位に属する数字ではないか。これだけクライアントPCが普及し通信環境もいきわたり、ネットショッピングやネット決済があたりまえになっているのに、こと政府・自治体の申請業務のネット化が進まない。
 ネット利用率が「不明」などとする省庁も存在するが、これは分母が何千万件と大きすぎて、正確な利用率を算出できないのだ。あるいは、正確な数値を出してしまうと平均利用率を大きく引き下げるから、おそらく隠している・・・かだ。申請件数を分母のそれで割ると、おそらく0.000X%ぐらいではなかろうか。きちんと数字を出せば、全体の利用率は0.9%どころではなく、0.0X%にさえなりかねない。これはもう、「e-Japan」だの「電子政府」などというのもおこがましい。まったくの旧態然たる、紙とペンのアナログ政府のまま、非効率的な資源と人件費のムダ遣い政府のままなのだ。どうして、こうなってしまうのか?

 役所へなにかを申し込む、届け出をする、依頼する・・・などの手つづきには、必ず「申請様式」というものが必要になる。噛みくだいて言えば、専用フォーマットの帳票のようなものだ。この専用書式にもとづいていないと、申請は受け付けられない。紙の様式の場合は、なぜか毎年見直しが行われ、ほんの少しずつ修正が加えられたりする。タイトルに1文字を付け足したり、注意書きの文章表現をちょっとだけ変えたり、書き込み枠を2mm大きくしたりして、毎年新しく膨大な量の申請様式を印刷し直すのだ。年末、会社の総務や労務士から渡される、いわゆる「給与所得控除」の書類を見ると、ほんのわずかずつ前年と変わっているのがおわかりになると思う。
 余った様式、前年度までの古い様式は、惜しげもなく廃棄される。つまり、毎年必ず版を変えて「改訂」され、大手印刷会社は膨大な利益を上げつづけられるしくみだ。申請業務が電子申請方式になってしまうと、そのあたりのウマ味がまったくなくなってしまう。だから、紙の申請よりも電子申請のほうが“面倒”っぽく装い、「システムを知らないと電子申請は難しい」などという印象を、ウマ味を享受する官僚たちは必死に植えつけようとする。ちなみに、PDFファイルの様式をサイトへ登録しただけで「電子化」なんて呼んでるところもあるが、プリントアウトをして郵送あるいは持参するのだから、まったく電子化などではない。旧態然たるアナログのままだ。
 もうひとつ、Webベースの電子申請が本格化すると、「いらない人」がゴッソリ出てしまう事情もあるのだろう。民間では予約受付の業務に、ブラウザベースのWeb+DBシステムを導入したら、それまで60人体制でやっていた部課業務が、たった4人のチーム業務になってしまった・・・なんて話はザラだ。官庁や自治体の公務員たちは、民間から吹いてくるそんな風に怖れをなし、電子政府化がいずれは自分でみずからの墓穴を掘る計画であるのを知っている。自分で自分のクビを締めかねない担当者は、せっかく電子申請してきた国民・区民・市民に対して、いろいろとナンクセをつけてなかなか受理しない。(みんながみんな、そういう人たちじゃないってことはわかるが) はたして、「こちらに来ていただき、その場で用紙に記入していただければ早いんですがね」という常套句がはびこる。電子申請の利用率がアップしないわけだ。
 先日、東京都知事あてに情報公開の開示申請をするとき、都庁サイトの申請の窓口であるCGIフォームについて電話で質問すると、はたして「来ていただければ早いのですが」。・・・やっぱり出ましたか。ネットのほうが早いに決まってるし、それが当たりまえの世の中じゃないか。ネット手続きのほうが時間がかかるとすれば、それが非常識で異様なのだ。

■写真:新宿中央公園から見た都庁舎。これ自体がイラナイという声も多く聞く。申請フォームをWeb上に設置している東京都だが、ぜひ利用率が知りたい。ネットの利用率開示のための申請に、まさか「来てもらったほうが早い」なんて言いませんよね?
■図表:『日経コンピュータ』2005年11月14日号より。


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